140字のエチュード―VoL.18
4:11 - 2015年5月31日
蜂鳥はダリアの周りで何度も口ずさむ
またやってみな またやってみなって
蜜の滴る花弁は 風に何度も祈りながら
散り際の美を繰り返そうと 己れの万華鏡の内側で
感謝と裏切りに揺れた・震えた・そして飛んだ!
幾つかの花弁は水面へ
幾つかの花弁は山肌へ
そうして蜂鳥に摘まれた 最後で最初の一枚は
何度でも帰ることになるだろう
その生まれ故郷へと―
その、生の重なりへ―
5:05 - 2015年5月31日
どうやらこの人にとって詩を書くことは、かの人にとって酒を飲むことや煙草を吸うのと殆ど同じことらしい。もっと言えば食べることや寝ること、そして小さな死を迎えることと同じことらしい。だから先に断っておきますが、この人はもう詩ぬことをやめられません。かわいそうなんだってね
7:25 - 2015年6月7日
聞いてください
わたしは何故か
信じています
この世界のあらゆる闇は
カカオ100%のチヨコレイトが
誰の口にも入ることなく
マークアウトされたことで
生まれたものだとー
7:11 - 2015年6月21日
夜風が涼しい 命の灯火は ゆらゆら 爛熟した幼心は闇に溶けて きみに照らされるのをじっと待つ 月の光は柔らかくて 雨音もドビュッシー 信じられない人の心を そっと宥める自然の声は 幾つもの失われた感情を取り戻すために 庭に咲く一輪の花をぼくは絶対に摘みたくない
6:01 - 2015年6月24日
「光雨糸」
私という一個の生命体を吊り上げる
幾本もの燦めく色とりどりの光雨糸
風が吹いても吹かなくても千切れることのない
色とりどりの光雨糸 指先を絡めて
源の啓示を承ろうと 海面でもがく白鳥
それは美白い朝だった