詩「相似」

 

ボクのベッドに敷かれた

しっとり冷えたシーツに

横たえられたマネキン

みたいなボクの身体は

忘れようと必死だった

再び起き上がることを

 

ボクのベッドに敷かれたシーツは青かった

晴れ渡る空のように青木繁の描いた海のように

青かったそのはずだったかつてはそして今も

 

晴れ渡る空に灰色の雲が広がり

青木繁の描いた海をデッサンしたことで

ボクの眼は醜く色褪せた

飛べないカラスのように

泳げないサカナのように

 

今、横たわるマネキンの

目の前に引かれた流線は

美しい言葉が紐解かれたものではなく

扇風機さえも厭う貴女の繊維だから、

ね、

分かるるでしょう?

わたしの言いたいこと

キミにして欲しいこと

 

たとえばわたしがキミに接吻したところで

キミの唇は艶めいてもキミの目は輝かない

――――――事実を、

キミはキミの細胞だけでは

リアランスを詩へと浄化

させられない現実を、

知らないいや知りたくないの

だから、ね。

許しして!

ボクの重ねたい奏でたい韻律を

貴女に聴こえぬようしめやかに

エチュードすることを・・・

 

青かったシーツに浮かぶ

綻びかけた刺繍とダイヤ

先ずはここから始めよう

 

ボクが貴女にあげたダイヤは確かに

光っているが届いているかその光は

色褪せても美しいままの貴女の瞳に

空回りし続ける扇風機絡み合う主語

どうせなら夏を飛ばしてくれればいいのにと

何処まで辿ればいいか分からない癖に耽った

 

ボクらのベッドに敷かれたシーツは今も

青かったそのはずだったという記憶をボクは!

失いたくくて堪ららなかった貴女は?

遺したくても忘れてしまうのわたしは、と

、そう編むのでしょう? きっとキミなら

この先滅びゆく肢体を目にすることなしに

美しいままのわたしを永遠に刻んだままで

 

しっとり冷えたシーツを

引き剥がされたマネキン

みたいなボクの身体は

忘れようと必死だった

マネキンだった過去を

生温かい人肌の未来を

 

青かったシーツに浮かぶ

二つの刺繍は同じ姿形を纏っているのに

カラスは飛んでサカナも泳いでいるのに

ダイヤだけが消えていた

光さえも置き去りにして