ミニ説「最後の晩餐」

 

 テレビで矢野顕子が「ラーメン食べたい」を歌っていた。聴いているうちに何だかメン子もラーメンを食べたくなった。が!、彼女は何とかその欲求を堪えた。ダイエット中だったからだ。それに彼女は今、彼女にしては珍しいことに自炊を続けている。しかも何日もカレーを続けるだとか、茹でたパスタにスーパーで買ってきた素を合わせるだけでいかにも料理をしています的なアピールをしている訳ではない。まぁ、ちょっとはそういう面もあるかもしれないけど・・・。とにかく!、今週の彼女はスープだけでも鶏がら、コンソメ、みそ(しかも日によって具材もちゃんと変えている!)の3種類を巧みに使い分けた生活を送っていたということにして欲しい。とどのつまり彼女が思ったことは、せっかく自炊の良い流れを作っているのにここでラーメン、それもインスタントかカップヌードルをあっさり食べてしまうのは何となく嫌だなぁ、ということ。まだラーメン店に食べに行く分には構わない。それはもう自炊の域を超えているからだ。しかし、困ったことに今の彼女はお店のラーメンではなく、インスタントかカップヌードルがどうしても食べたかったのだ。そして、食べた。美味しかった。もし地球が滅亡することになり、今夜が最後の晩餐となっても、メン子は幸せなのであった。