小説「ふとんの惑星」

ここはふとんの惑星。ふとんの敷き詰められていないところはどこにもない。一見、山のように見えるところには深緑色のふとんが、海とも湖ともとれるような場所にはグラデーション状となった青色のものが折り重ねられている。そこで人々は特別に何かをすると…

小説「カタストロフィ?」

「この星はもう終わりだ」 誰かの落胆した声が荒れ狂う暴風雨の鳴らす騒音に掻き消された。しかしそれはもはや言うまでもなく、誰の目にも明らかなことだった。 水と緑が豊富にあって暮らしやすかったこの星をここ数年の異常気象が滅茶苦茶に破壊した。気温…

詩「よっぱらいんらん」

生骸 より立ち昇る 瞳には決して映る ことのない素粒子 散りゆく紅葉を風っ と 間に間に甦らせよう とっとっおっとっと かめらのふぁいんだー 越しにのほほんと微笑 冬の陽光に透きとおる め尻の奥にのびる頬骨 にゅるるんにゅるるん なめらかな音をたてて …

詩「翼」

いつも君はついてきていた 僕の歩くその後ろを はしゃぐように 生き急ぐように いつも君は駆け回っていた 小さな家の空間を 僕の生まれる前からずっと・・・ 僕がこの世に存在しなかった時 いつも君は 誰の糸に導かれていたのだろうか 君がいなくなった 現在…

詩「ななをあいして」

みみを澄ませて 泡沫のはじける 音 うずまき響いて 鍾乳洞しんどう 寒気にふるえて 氷柱つらつらら ゆび先に触れて 冬を受けとめて 愛・・・・して 狼ノカミ逆だち 三日月に吠える 黄色い鳴き声が 人 肌にこだまして 海を金色に染め 目には見えない 幻想風…

140字のエチュードーVoL.1

2013年12月6日6:49 国会議事堂前。私は皆の一員となり必死に叫ぶ。特定秘密保護法案反対!反対!思い虚しく法案は成立される寸前。しかしそれでも尚、集団は叫ぶ。私も唱える。反対。直に法案は可決された。私は知らない人々の陰でそっと独り呟い…

小説「幸福な未来」

ある日の夜のこと、大学から帰宅した青年が自分の部屋の中に入るとそこには見ず知らずの老人がいた。老人はいつも青年の座る椅子に我が物顔で腰掛けていた。 「何なんだ。勝手に人の部屋に忍び込んだりして。不法侵入の罪で警察に訴えますよ」 「いやいや、…

小説「眼鏡」

ここはとある発明家の研究所。そこへ客として一人の男がやって来た。 「噂によるとここは依頼者の欲しいものを何でも開発してくれる研究所だと窺ってきました。ぜひとも私の、いいえ、私の娘のお願いを聞いていただけないでしょうか?」 「如何にもこの研究…

小説「国家機密のプロジェクト」

「判決。被告人を死刑に処す」 目の前に山のようにそびえ立つ裁判長から死刑宣告を受けた瞬間、男は全てが終わったという茫然とした表情になった。私の命ももはやここまでか。しかも冤罪であるというのに。 私は銀行強盗と殺人の罪をなすりつけられて裁判に…

読者の皆様へのご挨拶

読者の皆様はじめまして。私はファラデーと申します。このたび勝手ながらブログをはじめることとなりました。ここ「静物」には、私が創作しました詩や小説を随時、掲載していく予定でございます。お暇でしたらぜひお読みください。皆様のご指導ご鞭撻の程、…